四股(しこ)。相撲取りがやるアレ。(頭の中だけでもいいので)試しにやってみよう。
さて、いまやったその四股は、本当の四股ではないらしい。少し前に「四股トレ」といって、伝統的な日本の格闘技である相撲の基本動作・四股を現代のトレーニングに取り入れようというムーブメントがあったと記憶している。つまり、その四股は筋トレあるいはストレッチの延長として捉えられていた。
だいたいみんなこんな感じで四股を踏む。
足を高く上げ、地面に足を付けたところからさらに踏みしめるようにしている。動作が分解されているのだ。しかし、四股がこうなったのは戦後のことで、それまでの四股はもっと小さくコンパクトな動きであったと言われている。それは戦前の横綱の映像や写真、江戸時代に描かれた絵などから明らかだそうだ。
では、四股は筋トレやストレッチではなく何を目的にしていたのか。それは丹田を探すための鍛錬だったという。
例えば、「都道府県」のような複雑な形をしたものの重心をどうやって見つければ良いだろう。
異なる2点で吊り下げて、それぞれの鉛直線の交点が重心となる。四股はいわゆるこれをやっていたのではないか。人間の重心というのはすなわち丹田のことだ。
大東流合気柔術の佐川幸義が日々取り組んでいたという四股が伝わっている。これはかつての相撲で行われていた四股なのかもしれない。
身体は、あるいは身体と心は丹田で統一されるのではないかというのが今の見立てである。そのためにまずは自分の丹田を探さなくてはならない。
参考文献
『四股鍛錬で作る達人』(松田哲博)