胴体力:体中に力を伝える

身体の動きは煎じ詰めれば「伸びる・縮む」「丸める・反らす」「捻る」の三種類しかなく、身体の無限の動きはこれらの組み合わせによって生まれる――と言った男がいた。武術家・伊藤昇である。彼はこの力を「胴体力」と名付け、三つの体操にまとめた。

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単純ではあるが簡単ではない。漫然と取り組むのではただのストレッチになってしまうだろう。とはいえ、それだけでも実は十分ではないか、と思っている。とりあえず何かを身体が理解するまで続けることが重要で、続けやすさでは真向法と双璧をなす。あっちが下半身ならこっちは上半身という点でも相性が良いと思う(身体を部分で捉えるのは最終的には望ましくないのだが)。

筋肉に頼らない、バランスを整える、全身を繋げる、といった重要な概念を知るきっかけとなったメソッドである。一方、武術とくに古武術においては「先端・末端から動く」という正反対の教えがある。これはおそらく下手くそながらも人間が胴体から動きを伝えていることを逆手にとったものなのだろう。