柔軟性の獲得

心と体をひとつのものとするためには、まず「心と体をひとつにする」という発想を止めることから始めなくてはならない。「心と体」と言っている時点で、すでにそれが別々のものであることを認めてしまっているからだ。とはいえ、いわゆる心身二元論に慣れきっている私たちには少々難しい話かもしれない。そこで当面は両者を別々のものと認識した上でそれらを一致させるという戦略をとりたい。

すなわち、心を体の方に寄せ、体を心の方に寄せていくわけだ。東洋的に考えれば、それが丹田で一致し統一されるのではないか、その鍵となるのが呼吸ではないか、というのが私の予想だがそれはまた別の機会にしよう。

まずはしなやかな体を作りたい。年をとると頭が固くなるなどと言われるが、年をとると体は間違いなく固くなる。この二つのカタさは決して別物ではないと私が考えていることは、ここまでお読みの方には既におわかりいただけることと思う。

身体を隅々まで使えるようにすること。神経が行き届き、自分の意のままに動かせるようになること。身体でそれができれば、脳(心)にそれを適用するには、ほんの一跨ぎだろう。繰り返すが、心と体はひとつのものだからである。

柔軟性を獲得・維持することが全ての始まりだ。